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2006年09月 アーカイブ

2006年09月01日

京都市不祥事臨時市会を終えて

エピローグ

今年は例年に比べ職員不祥事が多発しました。6月26日不祥事根絶に向けた「服務規律等強化月間」が発令されました。7月18日から連続して朝日放送ムーブという番組が京都市の不祥事を取り上げました。小生が取り組んでいた「ごみ収集の実態」と不祥事実態に迫るというものであり、すべてはここから始まりました。これが世論に火を付けました。

8月に入り京都市の連続する不祥事を受けて各常任委員会で集中審議が行われました。そして様々な問題が浮き彫りになって参りました。そして、不祥事根絶に向け臨時議会の開催、また議会開催には様々な手続きが必要で時間を要することから、前代未聞の連合審査会を開き、その後臨時議会が開かれました。

職員の服務規律についてここまで掘り下げて集中的に議論が行われたこともまた前代未聞のことでした。

改革の入口

私はかねてより人事、組織改革を通した行政改革を最大の政治テーマにしております。特に環境局改革については現在表沙汰になっているまち美化事務所の実態についても先んじて徹底追求をしてきました。

タブー視されている不良職員の実態の解明、処分基準の厳罰化、そしてその問題は職員をクビに出来ない地方公務員法に起因すること、その中で分限処分という実施が全国で見送られてきた処分方法を実施すべきこと、民間委託を始めとする環境局改革など周りに白い目で見られながら独自に提言し続けてきました。

そういった意味で今まで口にされなかった問題が与野党問わず沢山出て参りました。闇に葬り去られていた問題がどんどんこの間表に出てきました。私は実にいい事だと思います。

問題の本質

今回の問題に対し、選考採用(一部の人間の優先採用)が全ての元凶だという人もいます。これらの問題は同和行政の問題だという人もいます。確かにそういった過去の経緯があったことも事実です。しかし、私はあえて申し上げたいのです。過去の経緯は関係ないと。仮にそうだとしても過去に責任を押し付けこの問題を収束させてはいけません。

問題は今後どうこの問題に対処し、職員が一生懸命働ける環境整備を行うかという一点に尽きます。選考採用で採用された人であろうが、一般試験で採用された人であろうが、しっかり京都市民の為に懸命に働く職員はいい職員です。どんな職員であろうと、市民の為に懸命に働かない職員は悪い職員です。また、一生懸命働こうとする職員にも、そんなに働かなくてもいい職場環境を造ったことが京都市の最大の罪です。そして、一部に不良職員がいることで真面目に仕事をしている職員が様々な迷惑をこうむることが問題なのです。

私は、一生懸命京都市の為に汗を流そうとする職員が一生懸命仕事できる環境を作ることが京都市の将来を誘うと思っています。市民の皆さんが「本当に市の職員はよう頑張る」「これなら高い税金を納めても納得できるね」そう言って頂ける環境にすることが何より大切だと思っています。そして、そうした職員が自分の職場に、自分の仕事に、京都市職員であると言うことに誇りを持てる、そんな市役所にすることが人事改革の第一歩だと捕らえています。

同時に、公務員には地方公務員法で身分が保障されていますから、職員をクビにすることが容易ではありません。よほどのことがない限りクビになることはありません。これに不真面目な職員があぐらをかいています。これは国の法整備によるものですが、これが大きなネックになっていることも事実です。

信賞必罰、駄目な職員は役所を去って頂かねばなりません。そうでないと「税金を最大限有効に使う」という行政最大の使命は失われます。しっかり働かない職員は即座に出て行って頂く、これを現在の法の範疇の中で最大限に発揮していかねばなりません。そうして初めて組織の規律は保たれるはずです。仕事をしっかりしない職員は処分する。これを法律用語で分限処分といいます。しかし、この分限処分が実行された事例は全国の事例を見てもほとんどありません。みんな二の足を踏みます。不当処分だと裁判を起されるとやっかいだからです。

だから私はあえて申し上げてきました。今回の不祥事で京都市から不良職員が全て処分されたわけではありません。まだ少数ですがそういった職員がいるはずです。本気で不祥事を撲滅させるならば、今、市民の批判を恐れず、全ての膿を出し切り、全国に先駆け分限処分を行い、これらに毅然と対処する姿勢を京都市は示さねばなりません。それはひどくパワーのいるいばらの道ですが、それをなくして抜本的解決にはならない、そんな議論を重ねて参りました。

プロローグ~そして前進あるのみ

31日に臨時議会で改革大綱が発表されました。

そこには、環境局職員の実質執務時間の少なさや内部の実態、職員の処分の甘さなど、私が今まで正しても、認めてこなかった問題点をしっかり認めました。その上で、ごみ収集事業の 50% 民間委託、50% 職員削減、およびゴミ収集車の3名体制から2名体制への移行などの環境局改革案、分限処分の実施などかなり踏み込んだ改革案が示されました。

これらの改革案は昨年来私が強く提言してきた問題で、当時は「民間委託なんて」とか「職員の削減なんか」など方々から「無茶苦茶や」的なことが言われましたし、みんな絵空事だと思っておられたように記憶しています。そういった意味で私が提案していた改革案が多分に盛り込まれたものでした。これは大変喜ばしく、画期的なことだと思っています。

同時に発表された市長以下の処分の方は随分甘いとの指摘も少なからずありますが、それよりも遥かに大切なことは今回の改革大綱が本当にしっかり実行されるかどうかだと思っています。引き続き骨抜きにならないよう厳しく見届けていかねばならないわけですが、とにかく大きな前進と言えると思っています。改革は始まったばかりです。

市民の皆様の怒りごもっともではありますが、その怒りを監視の目に変えて、今後一層厳しく見守って頂きたいと思います。

連合審査会での質疑

連合審査会で質疑した要旨を下記にまとめました。ちなみに5分と大変短い持ち時間しかないもので、質問に対する主旨を踏まえた答弁が殆どありませんでしたので、質疑のみ掲載致します。

連合審査会質疑 村山祥栄発言要旨

連日、不祥事や人事管理の問題が噴出している。

私は、今まで隠蔽され表沙汰にならなかったことを考えると、不祥事の噴出はいいことだと思っている。

ある都市の市長とこの件で話たが、その都市では期限を決めて、「不祥事をやれ出せ、それ出せ、期限以降出てきたら許さない」という姿勢で取り組んでいる。

そういう意味で「ウミを出し切る」というならば徹底して出すべきである。今の不祥事は警察やマスコミ、議会サイドから出たものばかり。市役所サイドの具体的なウミをだす努力が問われる。本当のウミは公務外非行の犯罪者ではない。内部に巣食う税金を食い物にしている職務怠慢者だ。服務監察のみならずどんな手法でウミを出すのか、またいつまでに出すのか?

今回の議会の流れはただ犯罪者撲滅という議論にとどめてはならない。更に踏み込んだ人事改革に迫らねばならない。その点で分限処分の実施は評価するが、具体的に今の状態で現場から分限処分対象の職員の情報が上層部に上がると思えない。どうするのか?

連日寄せられる職員の声を聞いていると、実に現場は酷い。特に出先機関はひどい。病欠ばかりとって働かない者、職場に来るが仕事しない者、現場の判断で勝手にルールを変える者、こんな状態をどう打破するのか。市長の決意も伺うが、これらの現場がどう変わるか、しっかり見届けることで、市長の決意が本物かどうか判断したい。

一市民として職員が市の為に一生懸命やって頂く事に誇りを持ちたいし、職員も自分の奉職に誇りをもって頂きたい。その為に宜しくご尽力頂きたい。

本日報告のあった民間委託化についてだが、かねてより委託の提言を続けていた者として、委託形態、民間と直営の業務量、退職者と委託のバランス、またそれによりどれだけの削減効果が得られたか、これらを見誤ると無意味な民間委託になるのでくれぐれもご留意頂きたい。

以上、答弁を頂いて終わります。

環境局における「解体的」改革(一部抜粋)

京都市職員による不祥事が多発し、市民の市政への信頼を大きく損ねている。

不祥事多発の原因

  1. 採用方法が甘い
    1. 適格性を欠く者の採用
  2. 採用後の指導や研修、処分が甘い
  3. 勤務実態や職場環境が甘い
    1. 長い待機時間が発生する勤務形態、民間に比べて余裕のある作業体制
    2. 遊具類の持ち込みが公然となされるなどの職場環境

「解体的」改革策

  1. 服務管理・指導・育生面の改革
    1. 警察官OBを含む服務監察チームによる抜き打ち査察
    2. 出勤状況に問題がある職員に対する指導を強化
  2. 処分制度の改革
    1. より厳しい懲戒処分の実施
    2. 勤務態度不良の者に対して分限免職処分を適用
  3. 作業の改革
    1. ごみ収集作業の待機時間の解消
    2. ごみ収集作業の3名体制から原則2名体制へ
  4. 業務の改革
    1. ごみ収集業務の 50% 委託化
    2. 死獣収集業務の委託化
  5. 職場環境の改革
    1. 遊具類の使用や持ち込み禁止
    2. 休憩室の抜本的な模様替えの実施
  6. 人事の改革
    1. 技能労務職員の 50% 削減
    2. まち美化業務員新規採用の凍結

2006年09月30日

9月議会を終えて

是々非々の無所属、「あかんもんはあかん」

不祥事撲滅の8月臨時議会から2週間後には開会された9月議会。

ゴミ袋有料化に伴う種々の混乱、職員不祥事に関する問題などがひとつの争点となり8月臨時議会で設置された不祥事根絶に向けた特別委員会の審議がクローズアップされ続けてきました。不祥事根絶に向けた特別委員会には私は入れませんでした。(これは定数枠の関係なのでやむをえません)そこで、不祥事に関する問題は8月臨時議会の項にてそれなりの見解をお示しさせて頂きました。

9月議会は、公営企業決算の議会ということで、不祥事根絶に向けた特別委員会の委員以外の大半は公営企業決算委員会に所属し、みっちり9月中、決算委員会で様々な議論を行いました。ここでは、その質疑に関する点と、議案に対する点について取り上げたいと思います。

特に今議会、私は大変問題のある議案が提出されたと思っております。即ち、談合の疑いのある工事契約についてであります。結論から言えば、私ただ一人否決をしております。ただひとり反対してでも鳴らさねばならない警鐘とはなんだったのか、詳しくは下記よりご覧を頂きたいと存じます。

  1. 工事契約に談合の疑いあり!驚異99%の落札率!(村山以外は全会派(自・公・民・共)64対1で賛成)
  2. 実現し始めた種々の政策…公営企業決算委員会ダイジェスト

入札がらみの談合事件が全国的に騒がれる昨今。9月議会では、5件の工事契約が議案として挙がってきていた。うち一件は9月末日現在、和歌山県のトンネル発注工事で談合容疑で大阪地検の捜査を受けている間組が落札しており、この議案は撤回された。そんな折、99.2%の落札率という極めて談合の疑いありという工事契約が議会に提出されていた。請負金額は、5億7540万円。

緊急議会報告:談合疑惑!?入札の謎。驚異99.2%の落札率

早速だが、下の資料をご覧頂きたい。

入札参加者と入札金額及び落札率
入札社名 入札金額 落札率
A社 (*1)548,000,000円 99.20%
B社 549,500,000円 (*2)99.47%
C社 550,000,000円 (*2)99.56%
D社 551,000,000円 (*2)99.74%
E社 辞退  
F社 辞退  
  • *1 税込み額は575,400,000円
  • *2 予定価格(552,400,000円)に対する入札金額の割合

99.2%という信じられない高落札率である。昨年度の同規模建築工事の平均落札率88.9%から見ても異常なことが良く分かる。あくまで疑いありというのが否決理由だが、全国市民オンブズマン連絡会議では、過去の談合訴訟や公正取引委員会の審判等から落札率95%以上を「談合の疑いが極めて強い」とし、90%以上で「談合の疑いあり」と断言している。談合を断定することは極めて困難ではあるが裁判でも高い落札率から談合が行われた事実を推認できるということまで言っている。また公共事業に詳しい経営学の教授によれば「落札率が98%以上など統計学上ありえない」と指摘する。さらに、、、

当局も疑惑、事情聴取するが…。

実はこの入札、当局にも談合情報が寄せられ異例の入札後の調査に当たっている。(通常入札前に行う)事情聴取と積算内訳書(見積もり)を精査し直したが、結果はシロだった為、今回の議案となっているのだが、これ程、疑いの強い入札を黙って唯一のチェック機関である議会が可決してよいのだろうか。

当該地区入札物件すべてを同一業者が落札!?

さらに疑惑はつづく。

なんとここ4年間の今回落札された地区のAクラスの工事契約をみると、今回落札したA 社が全て落札。しかも、当該エリアの入札工事におけるA社の落札率は平均97.9%。これを見て違和感を感じるのは私だけだろうか。

これらの内容から専門家にも意見を求め総合的に精査し、入札に関してのみ言える事ですが、入札は確定的証拠なくとも疑惑の段階で入札のやり直しを行うことができることから最終的に判断を致しました。全会派賛成という異常な状況の中でありましたが、ただ一人ででも警鐘を鳴らさねばならないとの判断から否決を致しました。

A社が落札した当該地区過去4年間のA クラス工事契約
年度 予定価格 落札価格 落札率
15 754,950,000円 782,670,000円 96.45%
16 442,050,000円 450,975,000円 98.02%
17 621,600,000円 633,990,000円 98.04%
18 575,400,000円 580,020,000円 99.20%

報告1

17年 追及 交通局とOB会、馴れ合い構造ぶった斬り

私は昨年来、交通局と交通局OB会との関係、特に時給2000円近い車両誘導業務を始めとした馴れ合いの委託契約、駅構内の敷地又貸しによる利益供与など内部の癒着問題を厳しく追及をしてきました。

17年 結果 馴れ合いからの脱却へ前進

結果、敷地の又貸し等は廃止、委託料は時給換算で1000円程度へ減額、また随意契約(入札なし)から入札導入など委託の在り方を見直し、金額にして約4000万の削減効果と随分改善がなされました。そこで…

18年9月 本委員会にて

本委員会では、さらなる委託業務の改善に加え、交通局からOB会へ派遣されている職員39人、人件費3億3000万(一人869万)の見直し、削減を強く求めた。

報告2

地下鉄駅に駐輪場設置を設置せよ!!

駅前の放置自転車問題について。自転車法で鉄道事業者には駐輪場の設置協力義務があるが、それは京都市の仕事だという。京都市は総合計画で整備を進めることになっているが、鉄道事業者の協力ありきという。私鉄の場合、私鉄の責任もあるが、地下鉄の場合、いずれにせよ、京都市の責任である。挙句の果て、歩く街京都と言いながら駐輪場設置もせずに撤去だけは行う。一体自転車をどこに停めろと言うのか?いや自転車に乗るなということか?他都市では、ちゃんと駐輪場設置した後、周辺地域を撤去地区を指定している。設置せず撤去だけ行う。以前から都市計画局でも指摘を続けているが、今回は鉄道事業者としての責務を問うた。

報告3

不快!危険??特殊勤務手当ての見直しを図れ!

年々廃止の傾向にある特殊勤務手当てだが、まだまだ不明瞭なものが存在する。中でも著しく危険、不快、また特殊な技術を要する業務に支払われる特異性手当てというものがある。本当に危険な業務はいいとして、メーターの検針や開栓閉栓作業・集金業務から守衛業務に至るまで職員の大半にこの手当てが支給されていることが分かった。メーター検針業務のどこが危険で、不快なのか?さらに、検針や開閉栓、集金に従事するとこの手当てに加え、奨励金という名の成果報酬までついてくる。特異性手当てだけでも問題なのに、これでは二重支給ではないか!即刻見直しを進めるべきだと強く指摘。見直しするとの答弁。

報告4

16年 追及 異常に高い直営単価。民間委託化を進めよ!

村山の調査で直営で行う業務が水道メーターの点検に一件あたり142円、開栓閉栓を行うのに一件4500円のコストがかかっている事が発覚!民間委託化を行っている都市では、それぞれ78円、525円と比べて頂ければ一目瞭然、高い。委託は検討していたものの、委託先は外郭団体と殆ど安くならない計画。競争入札を原則とした民間委託化を厳しく追及した。

18年 結果 競争入札による民間委託を導入

右京営業所のメーター点検業務が競争入札で民間委託を実施。一件当たり96円、総コストで▲3400万の削減に成功。

18年 本委員会にて

更なる委託化の拡大、開閉栓業務の委託(削減コストは最大2億5000万程度)および依然として競争力が低く委託費が高止まりしている外郭団体委託分を競争入札へ移行させるよう引き続き求めた。

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