11月議会は普通決算が柱となる議会ですが、それとは別に私にとっては初めて無所属議員が本会議壇上にて一般質問を行うといった過去の慣習の中で行われていなかった無所属議員の発言が実現した事は筆舌に尽くし難い喜びであり、ダメと言われて3年半。任期中に実現できた事に改めて皆様に感謝を致します。
一部からは、「議員なんやから、質問して当たり前や」というご指摘も頂きましたが、今までその当たり前が当たり前ではなかったのです。やっと、「当たり前の事が当たり前」になったのです。だから、この話はここまでです。ここからは、村山祥栄の一般質問としてご高覧頂ければ幸いです。
11月22日水曜日。午後3時15分。本会議場において「市政一般についての一般質問」今回は初めてのことという事もあり、KBS京都では放映がなかったものの、発言することに重きを置いていたので、私としては十分。今回の一般質問のテーマは教育と子育ての二本立てで考えていました。
質問に先駆け、教育問題についてかねてより高校生を対象にアンケートをとり、「京都市立中学校社会科指導実施状況報告書」を作成し、15日、教育長に提案を行って参りました。その段でも随分話し合いを持ち、種々の提案を行い、その上で一般質問を行いました。
なぜ、社会システムや生まれた土地柄、お国柄、正しい歴史認識を持たない若者が増えているのだろうか。即ち現行の教育基本法下において教育はその責を果たしていない。
その証拠に、私が京都市立中学生卒業生対象に実施した社会科アンケートでは、中学で地理歴史公民、全てをしっかり習ったという生徒は全体の34%。公民に至っては48%が途中までしか習っていないと回答。さらに「ここは試験に出ないから飛ばします」といった飛ばし・中抜きも常習化。これでは教科書問題など無意味。履修状況も、歴史では戦後、公民では経済・国際社会に未履修が見られる。
子ども達の学ぶ権利を守り、教える責務を再認識し、改善を求める。
義務教育の責務等についてでありますが、ご指摘のとおり、郷土愛を育み、伝統文化への理解を深めることを通じ、社会人としての素地を培うことは、義務教育に課せられた責務であり、そのためには、まず、学習指導要綱に示された基礎的、基本的な内容を確実に指導することが必要であります。
本市では、全国大都市で唯一、全ての教員が学習単元別の指導計画を作成して事前に校長に提出し、その指導の下、計画的な学習指導を進めております。また、定期テストの機会や学年会議、教科会議などにおいて、学習の進捗状況の把握と調整を行っており、今後とも、取組の一層の徹底を図ってまいります。
さらに、2学期制の導入、夏休みの短縮や入学式・始業式の早期化などを進め、今年度から全ての小・中学校において全国の標準を7日上回る全国最多の年間205日以上の授業日数を確保し、更に学習指導要領を超える発展的内容を全ての生徒に教える本市独自の指導計画「京都市スタンダード」の実践を進めております。
今後共、こうした取組をより深め、生徒、保護者、市民に信頼される学校教育を推進してまいります。
生活費の試算や契約を学ばせると言う子供たちに経済観念を植え付けるようなファイナンスパークの開設は、社会の基礎教育の上に、正しい倫理観や人生観を持って初めて効果的なものであり、少なくとも、前述のような問題を解決せずして、これ以上貴重な授業時間を割いて、当プログラムを導入することは、本質を見誤りかねない指導ではないでしょうか。仮に年に数日こういった授業を盛り込んだとしても、教育とは繰り返し積み重ねが肝要であるため、十分な刷り込みができるとは思い難く、予算に呼応した成果が上がるとは思い難いのであります。御所見を賜りたい。
中学生の体験学習であるファイナンスパーク事業についてですが、今日の子供たちの教育の最大の課題の一つは、教室での学びと家庭や社会における生活とが、乖離していることであり、このことが、学習へのモチベーションが高まらなかったり、生きて働く学力に結びつかない要因であります。
本事業は、これらを融合し、学びのモチベーションを高め、生徒の生き方探求、キャリア教育の実践に結びつけることを目的としており、京都ならではの産・学・公連携の下、世界97カ国で実績のある世界最大の経済教育団体ジュニアチーブメントと共同し、着実な研究を積み上げ、幅広い市民の協力を得て準備を進めております。
本プログラムは、元滋野中学校に商店や銀行等からなる街を再現し、家族構成等の具体的な姿を想定した社会人として生活設計を行い学ぶものであり、施設での1日限りの体験学習で終わらせるのではなく、事前・事後を合わせて15時間の学習を実施します。
事前学習では、税金・社会保険の意義、貯蓄や消費等、自己の生き方に照らしたお金の使い道等を考えさせ、体験学習では20業種の店舗から得る情報をもとに生活設計を行い、自分の消費活動等を振り返る事後学習につなげます。
本学習を通じて、教科等で得た知識を活用し、社会に溢れる情報を適切に選択収集する力や生活設計能力を育成するとともに、働くことの真の意味や社会生活の重みを実感させ、現代社会において失われつつある望ましい勤労観・職業観の素地や、親への感謝の念をはじめとする、様々な道徳観を育むなど大変有意義な取組であり、ニート問題の解決にも、大きな期待を寄せております。
今後、来年1月の開設に向け万全の取組を進めてまいります。
児童館整備は未だ道半ば。実現困難な中、現在文部科学省の推進する「放課後子ども教室推進事業」は地域の方々が学校の空き教室を使い子どものお世話をする事業です。地域力を高め子どもがのびのびと育て、なおかつコストメリットの大きいこの事業は現在下鴨学区のみで実験実施をしている。これを広く拡大する為に、教室確保と予算措置をされたい。
放課後の子供たちの居場所づくりについてでありますが、学校で子供たちに自主的に学ぶ場や多用な体験活動の場、さらに安心・安全な活動拠点を確保することは、今日的な課題であります。
そのため今年度、全ての児童を対象とした本市独自の放課後事業を検討するため、学識経験者、PTA、児童館関係者等の御参画のもと検討委員会を設置しました。
本年9月には、国においても、1年生から6年生までのすべての児童を対象とする「放課後子ども教室推進事業」と、従来から実施している「放課後児童健全育成事業」を二つの柱とする「放課後子どもプラン」が発表され、来年度実施が目指されております。
このうち、ご指摘の文部科学省の「放課後子ども教室推進事業」は、小学校の施設を活用し、指導員の配置や、地域・学生のボランティアの参画により、「学びの場」「体験の場」を確保する事業であります。
本市といたしましては、巨額の予算を要するとともに、余裕教室など施設状況の点検、運営要員・ボランティアの確保・研修など課題もありますが、今後、子どもたちの健やかな成長のために検討を進めてまいります。
左京区選出の無所属、村山祥栄でございます。
このたびは、巻野渡議長、北川明市会運営委員長を初め、諸先輩方ならびに関係各位の多大なご理解と格段のご配慮を賜り、無所属議員に対しこういった発言の機会をお与え頂きましたことを心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。また、市会運営にかける先輩諸兄のご情熱と高いご見識に敬意を表する次第でございます。
さて、日本はまさに艱難の時代を向かえ、地方もまたかつてない厳しい職責を担い、桝本市長におかれましては、その舵取りは困難を極め、心中お察し申し上げます。
その中で、過去と対峙し、未来に向け、京都の進むべき道しるべをひとつひとつ打ち出し、市民の安寧と都市の将来を案じ、ぶれることなく京都の行政改革を前進させてこられた姿勢に市長与党の末席を汚す一員として、敬意を表すると共にますますのご活躍を祈念するものであります。そこで、更なる京都市の発展の為に、これらを踏まえた上で敢えて苦言を呈したいと思うわけであります。
さて、現在、国の方では教育基本法改正論議がございますが、率直に申し上げて現行の教育基本法においても、現在の教育はその責を果たしているとは言い難いと思うのであります。即ち、第一条にある教育の目的は、「人格の完成を目指し、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた、心身ともに健康な国民の形成を目指すもの」でありますが、現在の社会の荒廃、倫理・常識の欠如、ニートや精神疾患の激増、どれをとっても達成されていると言い難いのであります。
その点において教育の責任は大きいと言わざるを得ません。
我々若者世代においては、一体どういった社会システムの中で生かされているのかすら理解していない者が多いのであります。そもそも最低9年間の教育を受けた人間が、なぜ、税金や年金のシステムすら理解をしておらないのか、教育基本法8条に規定される「良識ある公民たるに必要な政治的教養」は本当に教育課程において修了しているのだろうか、そんな疑問を感じてならないわけであります。
昨月から高校における未履修がクローズアップされておりますが、ここでは、これら一連の時事とは一線を画し、教育の本質に迫る議論を求めるものであります。
ここに、私自身で行った京都市立中学校卒業生を対象にした中学社会科指導実施に関するアンケート調査結果があります。調査結果から明らかになったことは、中学で行われる社会科、即ち地理・歴史・公民の三科目を通じ最後までしっかり習ったと回答した生徒は実に全体の34% に留まると言う事実であります。公民に至っては48%、約半数近い学生が、「途中までしか習わなかった」と回答しております。
正しい歴史認識を持たざる若者、社会のシステムを理解せず大人になる若者、生まれ育った土地柄、お国柄を知らない若者、そんな若者が年々増えているような気がするのは私だけでしょうか。教育は国の基であり、義務教育はその根底にあたる基礎教育であります。
この調査結果から見ても、その根底が大きく揺るぎ始めている一因がここにあるのではないでしょうか。
また、現場における「ここは試験に出ないので飛ばします」といった俗に言う「飛ばし・中抜き」があるかどうかといった設問に対し、歴史では48%、公民・地理共に3割を越す生徒が「飛ばしがあった」と回答をしております。我々は、教科書に記載されている事は教えられているものだと信じております。昨今、教科書問題がクローズアップをされておりますが、教えるということを前提に議論がなされている訳であり、教えるかどうかを勝手な現場判断に任せているとすれば、現在行われている教科書の内容精査は全く無意味である事を意味します。
また項目ごとの履修状況を見ておりますと、教科書の後半に行くに従い、履修率は低下し、特に、歴史では戦後、公民では経済や国際社会、といった現代社会と極めて密接に絡み合う重要な項目に未履修が見られます。
特に、昨今の世界情勢の中で、近現代における日本人の正しき歴史認識が求められることは言うまでもなく、現代社会に生きる者にとって必要不可欠な経済という観念が指導されていないことは由々しき事態であります。
ゆとり教育の中で、大変タイトなスケジュールをこなさねばならない現場の苦しみも理解できないわけではありません。しかしながら、それは大人の、政治の、勝手な理由であり、日本国に生まれたる子供たちには学ぶ権利があり、教師には教えねばならない責任があります。
郷土愛を育み、日本の、京都の、風土、慣習、文化、歴史認識を正しく、より深く理解し、この国の社会システムを学び、日本国民として、京都市民として、なにより社会人としての素地を育てることが義務教育に課せられた責務であります。今一度、教育の原点に立ち戻り、その重責を再認識され、素晴らしい若人を世に送り出して頂きたいと切に願うとともに、指導漏れがなきよう学習指導要領および授業の進捗状況の徹底管理を行い、改善を求めるものであります。今後の対応も含めご所見をお伺いしたいと存じます。
併せてお尋ね申し上げます。現在ファイナンスパーク開設に向け着々と準備が進めらております。生活費の試算や契約を学ばせると言う子供たちに経済観念を植え付けるようなスチューデントシティおよびファイナンスパークの開設は、社会の基礎教育の上に、正しい倫理観や人生観を持って始めて効果的なものであり、少なくとも、前述のような問題を解決せずして、これ以上大変貴重な授業時間を割いて、当プログラムを導入することは、本質を見誤りかねない指導ではないでしょうか。また、仮に年に数日こういった授業を盛り込んだとしても、教育とは繰り返し積み重ねが肝要である為、十分な刷り込みができるとは思い難いわけであります。即ち、予算に呼応した成果が上がるとは思い難いのであります。これに対するご所見を賜りたいと存じます。
さて、次の問題に移ります。昨今、少子高齢化が顕著な中、子育て支援を徹底して行うことは最優先課題のひとつであります。同時に女性の社会進出を促進させることは日本必須の課題であり、少子化に歯止めをかける重要な対処法でもあります。すでに桝本市長の強い指導力で、これらの問題に直結する学童保育の整備は進んでおりますが、未だ、未整備地区があることは事実であります。この問題を昨今の財政危機の中でどう早期解決させるか。
そこで、別の視点での少子化対策として、地域の方々が学校の空き教室を使い、放課後に子供たちのお世話をする「放課後子供教室推進事業」がございます。これは、文部科学省が137億円の新規事業として19年度の概算要求を行っているところでございます。地域のお年寄と共生することで子供がのびのびと育ち、こどもを中心に地域力を高め、なおかつコストメリットが大きい大変画期的な事業であります。既に、京都市、下鴨学区では、この事業を文科省の補助金をうけ、教育委員会のご協力の下、本年度より実施しております。地域の高齢者などのボランティアも、参加する子供の数も着実に増加し、地域の地域による子育てが育ち始めております。
国家レベルでも、本年9月、学童保育と放課後居場所作り事業の棲み分けが出来ました。実施には、国家同様、縦割り行政の中でどう棲み分け行うか、国からの補助金の行方がどうなるか、といった問題が本市においても存在いたしますが、そんな問題の為に待機児童を放置する訳には参りません。地域力を生かしたこの事業を是非とも京都市でも、特に学童未整備地域を中心に促進させて頂きたいと存じます。待機児童の解消を掲げる桝本市長の念願を果たす為にも、万難を廃し、19年度の独自の予算措置を強く求めるものであります。
また本年より実験実施しております現場は、独自教室確保の問題、運営費の問題に悩まされ、その切実な願いは限界に近づきつつあります。絶対に彼らの生みの苦しみを無にしてはならないのであります。この2点をはじめ更なるご支援を賜り、本当にこういったすばらしい事業が京都に根付くよう心よりお願いを申し上げます。この点についてもご所見を賜りたいと存じます。
以上、敢えて苦言も含めお尋ね致しました次第でございますが、何卒真意お汲み取りの上、ご答弁賜りますようお願い申し上げます。
最後になりましたが、市長におかれましては、この10年の実績を糧に、引き続き京都の先頭にお立ち頂き、明日の京都を誘い続けて頂きます様お願いを申し上げ、私からの質問とさせて頂きます。
ご清聴ありがとうございました。
京都市立中学校社会科指導実施状況報告書
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