【元京都市会議員】村山祥栄オフィシャルサイト

9月議会を終えて

年に一度の公営企業決算特別委員会。ちょうど、委員会で私が質問を始めたのが、昨年の9月議会からですが、そういう意味で一年が経ちました。

決算委員会は集中審議。平日は朝10時から夕方5時までずっと缶詰状態。本委員会では、一日を除き毎日村山も質疑を行いました。ちなみに、市立病院についても初めて質疑をし、今後の病院運営について提案と要請を致しました。我々左京区に住んでる人間にとって、大体病気になったら、府立か京大という大病院があるせいもあって、なかなか馴染みのない市立病院。公営企業でも大変専門性が高く、改革の難しいところです。

例えば、人件費の削減と一口に言っても、医師の給与を下げると必然的に良い医者はよそへ行ってしまう。不採算部門のカットといっても、例えば超赤字と思われる感染症病床も、サーズみたいなとんでもない感染症が出回れば、こういった自治体病院がやらなきゃどうしようもない、といった色々と複雑に問題が絡み合うところです。まあ、どんな切り口で議論を行おうか、結構勉強しました、これは。それでも全然分からないことだらけ。どんな議論をしたかは、下の委員会報告をご覧下さい。あんまり歯切れのいい答弁が返って来ませんでしたが…。

そして、恒例の交通局と水道局についての質疑。今回はなかなかわれながらいい論点で議論が出来たと思っています。

そして、最後は委員会締めの市長総括質疑ですが、今回からNEWシステムが登場しました。議会改革の一環ですが、通常全体を投影するカメラを通して一般傍聴者が委員会風景を見れるモニタールームに配信されておりましたが、今回の総括質疑から質問者と答弁者の顔がアップにされ、モニターに会派と名前のテロップが付くという、市民側からすると大変見やすいものに変わりました。さらに、その質疑の様子が各区役所でも放映されることになりました。

開かれた議会というべきか、各議員の格好のアピール場か、何とも言えないところもありますが、自分たちが選んだ議員が何を議会で課題としているかを見るには、概ねいい企画だと思います。おかげで、皆さん、いつもと違う質疑席にやや緊張した面持ちで議論されていたのが印象的でした。ちなみに、委員会報告はかなりコンパクトにまとめてみました。

さて、本会議に視点を移します。9月議会の最も大きな争点は、京北町との合併です。この論議は大して議会の中でも問題になっているものではありませんが、私自身はかなりの大きな問題と捉えかなり色々と悩み、調査を続けました。といいますのも、京都市では全くといってこの合併に市民議論がなされずにここまで来ました。本議会が、京都市民に合併の是非を問う最初で最後の場にもかかわらず、遂に最後までその議論はなされず、本会議最終日を迎えました。

京北町民にとって大変魅力的な合併といわれておりますが、京都市民にとっては、6000人程度の町がひとつ合併したからといって大した問題でないという風潮が強いせいか、かなり関心が低く、京北町と合併する上での京都市のデメリットが全くおざなりにされているのが現状です。確かに、自然豊かで広大な面積の京北町は魅力的ですし、合併特例債157億というのも目の前にぶら下げられたニンジンと分かっていても魅力がありますし(この借金の大半を後に国が肩代わりをしてくれる有り難いものです)、また、こういった実質的な合併論争が起こると、吸収される側の議員(ここでは京北町議)が自分たちの身分保障を強く訴えるケースが多いにもかかわらず京北町議員は全員が合併に伴い辞職をするという大変な政治的決断を下されているということも高く評価できます。

しかし、我々は京都市民に選ばれた議員であり、京都市にとって合併が有益か無益かを十分に議論する必要があります。かつて昭和の大合併で左京の北部地域、花背、久多、広河原と言う地域が京都市に編入しました。しかし、現在の当地区を見ますと、京北町とほぼ同じような環境下にもかかわらず、開発は遅れ合併しなかった京北の発展と比べればその差は歴然であり、左京内部でも南北格差というきつい言い方をすれば過疎地域の放置という実態があるのも事実です。そう考えたときに、本当に京北町が合併するに最良な選択かという問題もあります。また、京都市147万人の税金が間違いなく、人口配分をすれば市内に比べ多く、京北に注入されるという財政負担の問題もございます。

私は決して、この合併に反対をする人間ではありませんが、そういった意味であまりにも審議不足であるという感は否めません。これを放置していいものか?とても悩みました。ただ、私は市町村合併論者です。地方自治の独立は、自主財源、自立可能な中規模程度の自治体の構築が最優先です。国家レベルでいけば、300~500都市に再編するべきだと思っています。大所高所に立てば、今、国が進める地方分権と市町村合併は切って切り離せない大きな課題です。そしてまた、それには大いに賛成するものです。

結局、審判を下さねばならない日(本会議最終日)当日まで、ずっと悩んでました。そして、最後は賛成をしました。とても、すっきりしない起立でした。私に会派があって、この委員会に所属出来ていれば…大変複雑な心持にさせられた9月議会でした。

関連資料

平成16年度9月議会市立病院委員会質疑質疑要約

市立病院委員会

村山 祥栄

院長は、病院の顔なのか、病院の経営者なのか、どちらか?

市立病院院長

病院を総括する代表者です。

村山 祥栄

病院も、バス事業のように必要な赤字部門(政策医療)と赤字補填できる黒字部門にしっかり分けて、黒字化を目指すべきでは?

市立病院院長

確かにそうですが、幾ら他の部分で努力しても完全に黒字化するのは少し無理だと思います。

村山 祥栄

ならば、経営者としてお尋ねしますが、どこの指標を見れば、どこが赤字で、どこが黒字か分かりますか?

市立病院院長

わかりません。

市立病院事務局長

ご指摘の点は、診療科別収支分析のことかと思いますが、現在、当病院ではそういった指標が取れない状態です。今後はそういった指標を分析しながら経営努力をねればと思っています。

村山 祥栄

では、今後は診療科別収支がでるんですね!

市立病院事務局長

システムの整備が必要ですが、改善していきたいと思います。

村山 祥栄

今、院長が回答できなかった点、本当に経営者だったら簡単に回答できて然るべき。

では、事務局長が経営者かと言えばそうでもない。

結局経営者不在、これが地方公営企業法の全部適用の検討につながるわけですが、まず早期にこの課題をクリアして頂かないとその検討にも至りません。

村山 祥栄

次に、院外処方箋が全面実施になりました。それまでそれに携わった薬剤師等の人員の配置転換はどうなってますか?

市立病院事務局長

すぐには対応できませんので、次年度に向けて検討します。

村山 祥栄

現在、このセクションに携わる薬剤師は何名ですか?

市立病院事務局長

8名です。

村山 祥栄

では、この8名の次年度までの処遇、担当業務、資料での提出を求めます。

次に、この院外処方箋実施によっ会計に影響がでる収支額は幾らぐらいですか?

市立病院事務局長

後ほど資料で提出させて頂きます。

村山 祥栄

さて、病院の経営や安全に関する庁内会議ですが、参加者メンバーはどうなっていますか?

市立病院事務局長

院長以下各担当課長です。

村山 祥栄

病院経営に重要なのは、危機意識を全職員で共有することです。末端の部下にまでそれで本当に共有できていますか?

市立病院事務局長

メールにより全て会議内容を送っております。が、問題は全員がメールを見ないことです。これを今後徹底すべく努力します。

村山 祥栄

なるほど。

私は業績の大幅改善に成功している坂出市立病院を評価します。なぜなら、その裏には、全員参加型の経営健全推進会議を開き、京都市のような縦のラインに加え、8つの部会を構成し、職員全てが横のラインを形成し、高い危機意識を持ってこれに取り組んだ経緯があるからです。

メールの徹底などという低次元な問題ではなくこういった取組を参考に取り組んで頂きたい。

TIME UP!!

平成16年度9月議会 交通委員会質疑要約

交通委員会

村山 祥栄

50%以上の管理の受委託をやるべきではないのか?

民間委託の流れは時代の流れ。いずれやらねばならないが急には出来ない!民間委託度NO1といわれる自治体では昭和40年代から委託を行い、30年かかってここまで来た。

しかし、これからの10年で京都市は30年分の改革を行える余地がある。

交通局次長

50%まで前倒しで達成したい。

給与のピークはこれから10年。それを越えれば、平均賃金も下がる。そういった中で、経営力をつけ、直営で行いたい。

村山 祥栄

バスの定時性確保について。

PTPS(公共車両優先システム)以外に効果的な策はあるのか?

このシステムは、効果検証がしっかりできており、北大路から西大路四条で3分、九条で6分と時間を短縮できている。

交通局自動車部長

ご指摘のとおり、PTPSの効果が絶大です。設置に向け今後も京都府警に要望を続けて参ります。

村山 祥栄

具体的にどういった要望、交渉を京都府警に行ってきているのか?

交通局自動車部長

時期を見て府警駐車対策課・規制課・自動車交通部長等含め要望に行っている。

村山 祥栄

ただ、要望するのではなく資金提供も含め対応されてはいかがか?

PTPSは効果に対し単価が余り高くない。が、警察庁予算で設置される為、これをただ待っていては、事業がなかなか進まない。市から府へ資金が流れる構図は極めて稀有な話だが、進めるべきではないか。

交通局自動車部長

これは一番の効果のある事業だと思っておりますので、積極的に要求していきます。

村山 祥栄

答弁になっていないが、金銭的な問題を含めて検討の上、要望を進めて頂きたい。以上。

平成16年度9月議会 市立病院委員会質疑質疑要約

水道委員会

村山 祥栄

今後の水道事業の展望について。今後の収益は計画値通りいくのか?

中期経営プランでは平成20年まで値上げしないとあります。『今後の見通し』では給水収益は5%ダウンとなってますが、節水意識、膜ろ過システムの浸透等を考慮すると5%に留まるとは思いがたいがどうですか。

水道局総務部長

過去5年は1.5%ダウン。従って18年度までは1.5%ダウン。

その後は多少経済が持ち直すのではということで1%ダウンで見積もっております。

村山 祥栄

本当に大丈夫ですか?

確かにここ5年は毎年1.5%です。ただ、5年前と比べると8%10年前に比べ14%のダウンです。また収益では平成2年の262億が天でその後ずっと下落。

これを考慮すると、平成20年で11億、25年で30億予測より不足しますが、、、

水道局総務部長

執行に当たり厳しくチェックし、経営プランの確実な実行に努めたいと思います。

村山 祥栄

中期経営プランの最終年度の収支はマイナス11億ですが、これは達成できますか?

上下水道局長

これは最低限の収支だと思ってます。頑張って行きたいと思います。

村山 祥栄

21年度以降、値上げがあるのでは?

収支は年々悪化、20年以降の計画値はない、これらを考慮しますと、21年以降は料金値上げをするのではと推察されますが、どうでしょう?

上下水道局長

ご指摘ですが、更なる努力を行い、20年度以降にも少しお金を持っていけるように努力して行きたいと思う。

村山 祥栄

では経営プランの前倒し達成、よろしくお願いします。

村山 祥栄

さて、次に支出面ですが、人件費について。

このプランの職員削減数は158人ですが、退職予定者は229人です。この差は新規採用分ですか?

水道局総務部長

そうです。最低限の採用数です。

村山 祥栄

これから更なる行政のスリム化を促進する時期に70人の採用は必要ないと思われますがどうですか?

それから、外郭団体ですが、現在15人の出向者を派遣し、業務を遂行しているが、事業内容から見て、市の外郭団体として行う必要がないのではと思いますがいかがですか?

上下水道局長

70人は、年代年代において技術、経営を継承していく為に必要な人員です。

水道局総務部長

外郭団体ですか、出向者は極端に削減する予定です。

また、民間委託できる事業ではとのご指摘ですが、ノウハウの蓄積やOBを低コストで使うという手法などを行い、トータルでは安く付くと思います。

村山 祥栄

外郭団体はおっしゃるように段階的に縮小、切り離しをし、業務を競争入札型にされることがよいかとおもわれます。

職員の採用については、70人が最低とおっしゃいますが、福岡市では300人程度で事業運営をしています。

従って、その70人の内訳を提出下さい。 以上です。

平成16年度9月議会 市立病院委員会質疑質疑要約

交通局

村山 祥栄

先日の質疑に続きバス事業について。行政のスリム化をする上で最大のチャンスだと申しておりますのに、管理の受委託は50%以上拡大しないとの回答でした。

生活支援路線も民間並でやれば黒字化する部分が多分にあるが、直営で行うから黒字には出来ない。これは、行政としていかがなものか?やはり50%以上という問題、どうでしょうか?

交通局長

全力で取り組んでおりますので、ご理解頂きたい。

村山 祥栄

それは理解しています。

質問はそうではなく、民間並にすればキロ当たり511円で運行できるが、現状ではいくら全力で取り組んでも610円以下にはならない。その乖離幅をどうするか?

市長部局からいずれ補助がでなくなるかもしれない。それでも民営並でやれれば、なんとか赤字路線も維持できるはず。

それがなぜ出来ないかと聞いているのです。

交通局長

その差はこれから定数削減、賃金カット、管理の受委託等によって500円で運行できるようやらせて頂いております。

あと2分の1の受委託ですが、あくまで通達で決められておりますので。

とはいえ、早期に体質改善図っていきたいと考えております。

市立病院

村山 祥栄

次に市立病院について。

病院事業では「職員全体が合理的なコスト意識を持って経営を支える」という指針のようだが、それに対する具体策が見えて来ない。

坂出市立病院で取り組んでいる全職員参加型の経営健全推進部会といったものを作り、職員一丸となって改革に取り組むべきではないか。

副市長

日頃より病院では病院経営、業務管理等、各部門で委員会を作り様々な角度で検討し、所属長を通じ、内容をメールで全職員に配信しております。

今後は、委員ご提案のようなことが出来るか検討してみます。

村山 祥栄

次に、病院の地方公営企業法の全部適用について。

現行の制度では、経営者であるはずの院長には経営の見識と権限がなく、本当の経営改革を執行できる状態にない。

当法の全部適用を検討する必要があるのではないか?

副市長

よくよく検討してまいりたい。

村山 祥栄

最後に、院外処方の実施に伴う薬剤科業務の分担の見直しについて。

処方箋は院外に出すが、それに従事していた人員の移動が見えない。これでは、いくら良い見直しをしても効果が付いてこない。

よく計画を練ってから、今後は取り組まれたいということを申し述べ、質問終わります。