2008年04月 明日への選択4月号巻頭インタビュ―
同和「裏」行政を続けたのは誰か
京都で『京都・同和『裏』行政―現役市議会議員が見た「虚構」と「真実」』(講談社+α新書)という本が話題になり、地域限定ながらベストセラーともなっている。著者は前京都市会議員の村山祥栄さん。村山さんは、平成15年に25歳の若さで京都市市議に当選。以来、現場での実地調査に基づいて行政改革に取り組んできた。
この本ではそうした議員活動の一環として取り組んだ同和問題の調査や提言などがこの本で紹介されているのだが、一体、村山さんはどんな思いをもって「同和問題」に取り組んできたのか。その思いを聞こうと京都市左京区の事務所を訪ねた。
ちなみに、村山さんはこの二月の京都市長選に無所属で出馬し、健闘するも当選は果たせなかった。とはいえ、同和問題の総本山とも言われる京都で、同和行政の「裏側」を描いた本がベストセラーになったということは、現役市議がこの問題を正面から取り上げたことに対する市民の共感の現れのようにも思える。
「なんかおかしい」ではあかん
記者
村山さんは、地方政治、特に行政の管理的な側面に焦点を当てた活動をされてきたわけですが、そのきっかけは何なのですか。
村山 祥栄
僕自身が政治家になろうと思ったのは中学時代からの話なんですが、大学を出たあと、市議になる前に社会経験を積んだ方がいいと思って、リクルートという会社に入ったんです。リクルートという会社は、どうしたら社員が一生懸命働くのかということを追求し、また実際に社員の能力を120% 発揮させるというぐらいフル稼働させて伸びてきた会社なんですね。そうした会社で営業をバリバリやってから市会議員になったものですから、市の職員の仕事ぶりをみて、そのものすごい落差にあぜんとしたわけです。
記者
つまり、仕事をしない人たちがいた。
村山 祥栄
ええ。もちろん、役所にも優秀な人材は沢山いる。しかし、その真面目で優秀な職員たちは仕事をしない人たちのカバーに追われて、持てる能力も活用されていない。こういう状況が改善されて、人材が120% 活用されたら市政はもっと良くなるのではないか。そういうところから行政改革に目を向けていったということです。
ただ、最初は、予算書や決算書の読み方も分かりませんでしたし、そもそも役人が言っている言葉の意味も分からなかった。今なら、もっともらしくいい加減な説明をしたならばすぐにわかりますが、最初はその話が本当のことなのか、それとも都合の悪いことを誤魔化しているのか、その判断もつかなかったですね。結局、役人の本音を引き出す阿吽の呼吸とか彼らの話の真偽が判断できるようになるまでに一年半くらいかかりましたね。
記者
それで、最初にとりくんだのが……。
村山 祥栄
京都市交通局と交通局の OB 組織である協力会(社団法人京都市交通局協力会)との馴れ合いの問題です。この問題を取り上げたのは、たまたま最初に配属されたのが交通水道委員会だったからなんですが、実は、この両者の馴れ合いは、もう随分前から噂されていて、先輩議員からも「協力会と交通局はべったりや」という話を聞いていた。ですから、みんな何となく知っている問題やったけれども、だれも踏み込んで調べたりはしなかった。「なんかおかしい」というところで止まっていた。しかし、そこで止めていたらあかんでしょうということで、一回ちょっと調査してみようと始めたんです。
それで、先ず役所から数字を出させた。交通局から協力会へ業務委託費として拠出されているおカネは、約17億円(平成16年度)。その大半は、いわゆる随意契約で、競争入札が行われていなかったんですが、その数字を追いかけていったら、とんでもない実態が出てきたわけです。
例えば、車両基地である市バスの営業所では、バスの誘導業務を時給1958円で委託していたんですが、直接現地に行ってみると、一人でできる業務を二人でやっているんです。民間のバス会社なら時給800円程度で一人でやっている仕事です。それを二人でやっているわけですから、民間のおよそ5倍もの金額になっていた。燃料補給でも、民間のバス会社なら運転手が自分でやっているところを、ある営業所ではその仕事に4人も配置していた。しかも実働4時間程度で1日分(8時間勤務)の日当を払っていた。
これでは、どう見てもお金を出すために無理に仕事を作っているとしか言いようがない。
ところが、平成17年3月の議会(公営企業予算特別委員会)でその実態を指摘した上で、なんで競争入札を行わないのかと質問したら、市交通局の総務部長は「OBのような経験と知識を兼ね備えた人間が業務遂行にふさわしい」と言うんです。でも、委託している業務は、営業所の掃除や車の誘導といった内容で、OBである必要はどこにもない。とことん人をバカにした答弁で、それならということで、徹底的に追及したわけです。
経過は省略しますが、その結果、協力会に委託している6つの事業で契約単価を見直し、3000万円の委託料削減が実現しました。また平成18年度からは順次競争入札が導入されるようにもなりました。
55億円のムダ
記者
役所から数字を引き出し、実際現場も調査し、その上で質問するという方法ですね。その次に、市の環境局に対してもっと大がかりな調査や追及をすることになるわけですね。
村山 祥栄
交通局の問題が議員になって2年目。それで3年目に普通予算・決算特別委員会に移ったわけですが、ちょうどその時、ゴミ袋を有料化しようという話が出ていたんです。
もともとゴミ袋の有料化そのものには異を唱えるつもりはなかったんですが、市民にそれだけの負担を求めるならば、その前に行政が最大限ムダをなくす努力をするのが当然でしょう。ところが、環境局は以前から問題があると何かと噂になっていたところです。ですから、むしろ、ゴミ袋の有料化をきっかけにその環境局の改革に乗り出すチャンスにしようと……。
それで、手始めに役所から資料を出してもらい数字を追いけて行ったところ、京都市のゴミ収集業務はとんでもないムダがあることが分かった。
実は京都市のゴミ収集は3つの方式で運営されているんです。1つ目は市の「直営」で、パッカー車(ゴミ収集車)も作業員もすべて京都市のもの。2つ目は「民間委託」で、収集作業すべてを民間に委託しているケース。3つ目は「庸車制度」といって、車と運転手を民間からリースで借り入れ、作業員だけ市の職員というケースです。ただし、3つとも京都市の制服を着て、車は京都市指定のカラーで統一されているので、市民から見ればみんな市の職員がやっているように見える。ですから、こんな方式があるなんて、市民も知らなかったと思うんです。
これにどれだけのコストがかかっているかというと、「直営」は1トンあたりの収集単価が2万円。全国平均は18000円ですから、2000円割高です。2番目の「民間委託」は、当然直営よりも安いはずなんですが、実際は単価22000円で直営よりもさらに高かった。全国の自治体の民間委託単価は平均で8000円。京都市は全国水準の二・七五倍の高い委託契約を結んでいたわけです。「庸車制度」の場合はさらに高く、単価26000円。「1日6時間」の契約で、車と運転手に対して1日あたり53790円も支払い続けていた。
それで京都市は、年間78億円(平成16年度)もゴミ収集の費用がかかっていた。これを民間並みのコスト(全国平均水準)で管理できれば、収集経費は23億円で済む。
記者
いわば毎年55億円もムダづかいをしていた。
村山 祥栄
はい。平成17年11月議会で追及しましたところ、翌12月の普通決算特別委員会で副市長から「見直しの早急な検討にかかりたい」という答弁を引き出すことができました。
(※上の数字は環境局作成資料より抜粋した数字ですが、当時は、こういった経費計算が行われておらず当局が概算で出した数字でした。その後、19年環境局が作成した資料によれば、直営3.5万円、委託1.8万円、庸車2.9万円とさらに上方修正されています。)
中抜け、仮眠で年収690万
村山 祥栄
ところが、年が明けても環境局が全然動き出さない。逆に、環境局からの返事は「職員はギリギリのところでがんばっている」「過去にはそういうこともありましたが、今はちゃんとやっています」の繰り返し。それならとことん調べるしかないと。
記者
具体的にはどんなふうに調査したのですか。
村山 祥栄
1つは張り込みです。11カ所ある「まち美化事務所」のうち張り込み可能な事務所を選んで、その近所に車を止めて1日見張る。収集車が何時に出て行って、何時に帰ってくるか。あるいは朝から近くのマンションの屋上に陣取ってビデオを回したり、勤務時間中に自家用車で出かける職員を尾行したり……。僕が行けない日はボランティアの学生に頼んでチェックしてもらいました。これを1ヶ月以上ずっとやりました。
もっとも、こうした実態は噂にもなっていて、以前にマスコミが張り込みしていたこともあったものですから、彼らの方も警戒していた。それで、僕らの調査もかなり慎重にやったということです。
記者
そこで見えてきた実態はどんなものでしたか。
村山 祥栄
実働時間で見れば1日3時間から4時間程度しか働いていなかった。「中抜け」といって、仕事を途中で抜け出して家に帰り、タイムカードだけ押しに事務所に帰ってくるということも平然と行われていました。
もちろん、各事務所の内部にもいきなり入って調査もしました。そうしたら、事務所の中には仮眠室はあるわ、トレーニングルームはあるわ、休憩室はいくつもあるわ……。なんで八時から四時半の勤務で仮眠室が必要なのか。それで「まち美化事務所」の職員たちは平均年収690万円というのですから……。
管理責任こそ問われるべきだ
記者
これではゴミ収集のコストが高くなるのは当然ですね。
村山 祥栄
もちろんコストも問題なんですが、やはり人事管理の問題なんです。一生懸命働いている人もいる。一生懸命働いている人間が片方にいるのに、一生懸命働いていない人間を放置しておくのはそもそもおかしいでしょう、ということです。
しかも、管理側はこの状況を知っていながら、「現場はよく頑張っている」と答弁して恥じない。こう考えると、確かに現場の作業員・職員は悪いけれども、問題の根っこは、管理側の「管理責任」であり、実はこれが一番のポイントだと僕は思うんです。
記者
どうして環境局は「現場は頑張っている」と言うのですか。
村山 祥栄
はっきり言えば、役所の幹部は組合の顔色を見ながら仕事をしているんです。この問題を再三追及する中で、環境局の幹部からこういうことを言われたことがあるんです。村山に何か資料を出すと「私のところに吊るし上げが来るんですよ。私は我慢しますけど。」と。こんな環境でどうして現場の指導監督ができるのか、という話です。それで現場の実態を調査しないということにもなったわけです。
記者
同じ平成18年だったと思いますが、覚醒剤の売買や買春行為など、京都市職員の不祥事が発覚してマスコミにも取り上げられて大問題になりましたね。そのなかに環境局の職員が多かったようですが……。
村山 祥栄
その通りです。ある議員が、さすがに呆れ果てて「これはどこの犯罪記録か、暴力団か!?」と揶揄していましたが、まったく同感です。
そこで、環境局の職員は「同和採用」で入った人が多い。だから、一連の不祥事は「同和採用の責任だ」と言う話も出てきたんですね。
確かに、平成13年までは同和地区の人たちを優先採用していました。これは普通の採用とは違って、無試験でいつでも入れるんです。仮に50人新規採用するとしたら、同和地区の安定した雇用を創出するという名目で運動団体に丸投げして、受けた運動団体がこの50人を市役所に入れていた。だから、同和地区では、「勉強ができずに就職するところがなかったら、市役所に入れてもらったらええ。最悪でも市役所や」というような言い方をしていたとも聞きました。その枠で入ってきた人間が問題を起こしたケースが多いのも事実です。
記者
驚くべき実態ですね。
村山 祥栄
確かにとんでもないことですが、ただ、これは基本的には終わっている話なんです。仮に、その責任追及をしたとしても、現場の役人は「前の人事部長が悪いんですわ」と、こういう話にしかならない。しかし、それでは問題は何も解決しない。
また、一連の不祥事が明らかになり、京都市は「抜本的改革大綱」を出して、「環境局における解体的改革」も打ち出されました。とはいえ、地方公務員法によって身分が保障されていますから、お引き取り下さいというわけにもいかない。
ですから、問題は「優先採用」が終了した平成13年以降に何が起こっているかということなんです。結局、管理がちゃんとできていなかったから、こういう不祥事が起こっているわけで、僕がいつも言っていることですが、「京都市にとっていい職員とは、市のため、市民のために一生懸命汗を流し、働いてくれる職員。京都市にとって悪い職員とは、市のため、市民のために一生懸命汗を流さない職員」ということを徹底するしかないと思いますね。
逆効果だった過剰な施策
記者
同和問題も行政責任という側面があるということですね。
村山 祥栄
しかも、この問題は市長が腹を括ってトップダウンで断行しない限り、解決しないと思います。
同和問題について言いますと、平成14年に「同和対策事業特別措置法」が失効し、京都市も同年、「同和事業の終結」を宣言して、62施策のすべてを廃止もしくは一般施策化するとされました。問題はきちんと終わっているかどうか、なんです。
しかし、その後も市民の間で「同和地区は優遇され続けている」という声があり、議会が平成17年に「同和行政の完全終結を求める決議」が全会一致で決議され市に提出しました。また僕自身も議員になってから、旧同和地区の周辺で、「あの地区だけは、道路も生活環境も整備されている」「あの市営住宅は、極端に安く借りられる」「彼らだけズルい」といった話を、耳にたこができるほど聞かされてきました。終わったと言っているけれども、本当のところはどうなのかと。それを確かめようと思って、昨年7月から10月にかけて旧同和地区とその周辺でアンケートやら現地の調査をやり、その調査をもとに市長に「要望書」を提出したわけです。こんどの本の中心になっているはこの調査結果なんです。
記者
その結果ですが、いくつかかいつまんで教えてもらえますか。
村山 祥栄
例えば、旧同和地区には、かつて隣保館と呼んでいた同和事業の中核的施設がある所が多いんです。隣保館のある地区では、それを中心として、改良住宅を設置したりして、住環境を整備するなど、ソフト・ハードの両面から支援してきました。一方、隣保館とか改良住宅はいらないと住民自身が拒んで、支援金などソフト面のみの支援が行われてきた地区もあるんです。
それで今回の調査では、隣保館がある所とない所では近隣住民にどういった意識の差があるのかどうかということで、近隣500メートル圏内の住人を対象にアンケートを行ったんです。
その結果、「近隣に旧同和地区があるかどうか」という設問に対して、隣保館がある所の近くでは58% が「ある」と答えたのに対して、隣保館がない所の近くでは「ある」と答えた人が14% しかなかった。
このデータから見えてくるのは、行政主導で行ってきた住環境整備が、結果的に周りの住民に「同和地区」いう意識をかえって持たせてしまっているという現実です。
同和事業は終わっていない
記者
同和事業が差別感情を持続させていく形に働いているということでしょうか。
村山 祥栄
結果的にそういうことだと思いますね。しかも、それは過去の話ではないんです。
隣保館に関わる同和事業は平成九年に終了し、それ以降は「社会福祉事業法」に基づく一般施策に移行しています。その時点で隣保館はコミュニティセンターという名前になったのですが、一般施策へ移行させた後これらの施設はどうなっているのか、ちゃんと京都市の公共施設として管理されているのかというのが僕の疑問でした。
それで実際に自分の目で確かめようということで、市内に15カ所あるコミュニティセンターの会議室から倉庫にいたるまで現地視察したんです。
その時の率直な感想はというと、、コミュニティセンターの会議室には「ここは市長室か」と見まがうほどの応接セットがあるところや、革張りの椅子や立派な会議机があるところもあった。どのコミュニティセンターに行っても立派な調度品があった。だいたい京都市の普通の施設では、会議室といえば広い部屋に簡素な会議机と椅子、せいぜいホワイトボードが置いてある程度です。「なんでこんな豪華なもんがコミュニティセンターだけにあんのや」というのがまず疑問でした。
また、例えば、あるコミュニティセンターの「サークルルーム」という部屋には、本格的なボクシングジムの設備がありました。これを見たときは、さすがに唖然とするほかなかった。この部屋には他にも、天井から吊るされたサンドバッグ、筋トレ器具、休憩用のソファーはあるし、個人の名前の書かれたヘッドギアなど私物としか言えないものが無造作に置かれている。間違っても、そのコミュニティセンター近隣の住民以外が利用できる状態でないことは一目で分かりました。
コミュニティセンターというのは、今では一般施設になって、市民なら誰でも利用できることになっているはずなのです。しかし、僕の調査した限りでは、コミュニティセンターというのは元の隣保館の名前が変わっただけではないかと。設立趣旨などは引き継いできているし、使われ方もかつてと変わっていない。周辺住民から見れば、いまだに「コミュニティセンター=隣保館」だということが見えてきたのです。
要するに、「同和行政」はまだ終わっていないということです。しかも、先のアンケート結果を考えると、こんな行政を続けているから、同和差別もなくならないのではなかと。
だから、コミュニティセンターは一回廃止して、京都市のただの所有物にしないといけない。財産管理をする部局で一回管理して、これを何に使うか考えましょうと。その上で例えば市の全域で不足している社会福祉施設へ転用していくとか、待機児童問題の解決のために保育所として活用するとかすればいい。実際、そういう使い方をしてうまく行っているケースもあるんですから。
事業終結を阻む役人の論理
村山 祥栄
もう一つ例を挙げますと、奨学金制度の問題があります。
かつて同和地区内の子供に対して就学を奨励することを目的として同和奨学金制度というのがあったんですが、これも同和事業の終結に伴い廃止が決まり、5年の経過措置を経て平成18年に終了したことになっています。ただし、18年度の入学者に対しては、卒業する21年度まで「経過措置扱い」として貸し付けが行われています。事業規模としては1億5000万円くらいの制度です。
実は、地区外の生徒については、経済的理由で学校に行けないケースでも京都市として奨学金を出しているわけではないんです。なんで旧同和地区の生徒・学生に対してだけ今も奨学金制度があるのか、と首を傾げざるを得ないのですが、
この奨学金はいったい誰が返していると思いますか。借りた側の人ではなく、京都市が返済を肩代わりしているんです。
なんでそんなことになっているか。「自立促進援助金制度」という制度があって、何らかの事情があって返済が厳しい場合、奨学金を借りても、返済はすべて京都市が負担するということになっているんです。つまり、奨学金の「貸し付け」でなく、実態は「給付」なんです。しかも、一旦貸し付けて、さも返してもらったような形をとっているのですが、実質は帳簿のうえで返してもらったことにしていただけというのですから、始末が悪い。
ちなみにこの援助金の制度は、以前は確たる支給基準もなくいわば垂れ流し的に出され続けてきたんです。一応、平成15年度に見直しが行われ、16年度以降は一定の支給基準が設けられはしました。それで、その基準とは何かと聞いてもなかなか言わない。ようやく出てきた基準というのが、4人世帯で年収900万円以上の所得がある家庭には自立促進援助金を給付しません、というものだった。
記者
年収900万以上だったらそもそも奨学金はいらないのでは。
村山 祥栄
世間で言う「お金持ち」ですからね。しかも、おかしなことにこの援助金制度は、20年後の平成41年まで継続されることになっているんです。
記者
同和事業はまだまだ終結していない。それにしても、どうしてこのような制度をあと20年も続けようというのですか。
村山 祥栄
結局、役人が運動団体に遠慮しているということでしょう。彼らはだいたい3年から5年で配置換えになる。だからその間は波風立てずに勤め上げて、次の人に申し送る。「地区住民は年々減ってるんやし、わざわざ終止符を打つようなことをせんでも、ちょっとずつ手を引いて行ったらええやろう」という程度にしか思っていない。だから、同和事業を終わらせるためには、市長が決断してトップダウンでやるほかないんです。
同和事業終結が市長選マニフェストに
記者
そうした辺りから市長選出馬につながっていくのですか。
村山 祥栄
そういうわけではなく、もともとは自分で出馬するつもりは全然なかったんです。先程お話した「同和問題」の「要望書」も、もともとは候補者のマニフェストに是非入れてもらいたいという発想で、あえて当時の市長に提出したものなんです。
京都というところはご承知のように共産党が強くて、市長選は「共産対非共産」という構図がずっと続いてきました。しかし、非共産候補はいつも3党相乗りで、市民の皆さんからは「相乗りはおかしい」という声がものごく強いんです。そしてもうひとつは、市役所不祥事問題が続出する中で、内部からでは改革ができない、中からじゃ駄目だという市民の声が圧倒的多数に上っていました。にもかかわらず、今回も結局は3党相乗りで教育長の門川候補が出てきたわけです。市民があかんと言っている選挙をやらせてしまうのは筋が通らないし、そういう候補を応援することもできない。それで悩んでいたところ、いろいろな人に背中を押されて出馬することになったんてす。負けてしまいましたけれど……。
ただ、市長選に出るとか何とかいう以前に、「要望書」を出したことで、それが市長選で活きて「要望書」の趣旨は門川候補のマニフェストにも、共産党候補のマニフェストにも盛り込まれた。その意味では、収穫があったと思っています。
(3月10日取材。文責・編集部)
