市内某所、平成17年に竣工した新築の匂いがする市営住宅がある。しかし、驚くべきことに、総戸数38戸中、なんと16戸が空室だ。さらにうち6戸は完成から10年以上経った今に至るまで、誰一人入居していない新築未入居物件になっている。一等地にも関わらず、なぜか募集すらしていない。
現在、平成5年以降に建築された市営住宅で実に新築未入居物件が、昨年完成した40戸も含め、なんと77戸もある。やはり大半は募集停止中だ。調べたところ、例えば先ほどの住宅は、古い住宅から順次引越させる予定だそうだが、調整が先送りになり、気付けば十年空室のままになっていた。この新築未入居70戸だけ見ても、仮に家賃が5万として年間60万、これらののべ空室月数391ヶ月、2億3460万円の機会損失、いわゆる「稼ぎ損ね」が発生しています。
つまり、本来、スピーディーに、または何らかの手を打っておけば、行政が対応していれば、二億某という金額をこの部屋は稼ぎ出し、市の財政に納入させていたはずです。納税者はこの新築未入居をどうみるだろうか。
左京区の中心ターミナル駅・出町柳駅周辺には、十数年塩漬けになっている土地がごろごろある。次の計画が決まらずフェンスで覆われたままだ。そんな土地が市内にはわんさかある。また、退去から募集までも最短で3ヶ月、おおむね半年程度かかる。とにかく行政はこうした機会損失という概念に大変無頓着だ。これらの機会損失の穴埋めは市民の税金です。
新築物件が埃を被って十数年、土地が遊んで数十年、次の入居募集まで半年以上、こんなものを看過してよいのだろうか。例えば出町柳駅周辺では著しく不足している駐輪場、や時間貸し駐車場などの短期的資産の有効活用も十分可能だ。スピード感と民間感覚をもって早期に対応すべきだ。
現在、京都市の市営住宅には入居希望者が列を成しているが、一方で、解体予定などを除き実際使える空室が2000室余りもある。しかし、そのうち1448室は募集困難という理由で募集されていない(9月1日現在)。その中で整備費用が200万円以上掛かるという理由で募集をしていない住戸が997室、約1000室ある。もちろん、中には街中の超人気物件なども含まれている。予算の関係もあるが、整備費用が掛かるので後回しという論理はいかがなものか。
そもそも、原状回復に200万以上係るような物件がなぜそんなに多いのか。故意の過失によって発生した修繕費用は退去者にご負担頂けているのだろうか。
退去後住戸の内部調査も実施したが、見る限り畳替えと壁紙程度で十分次の方に貸せる。退去後の整備費用が通常でも130万円以上掛かるということだが、随分高止まりしてるのではないか。
ニーズの高い住戸を優先的に、修繕費用は再点検し、適正な運営を心掛けて頂きたい。
市営住宅は、公営住宅法第一条に示されている通り、「国民生活の安定と社会福祉の増進を目的に低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸する」ものだ。そのため、入居時には厳しい所得の審査があります。
しかし、今回の調査で、現在、市営住宅には月収64万円!の世帯をはじめ、京都市が定めた入居基準の収入を超過している世帯がなんと1080世帯もいることがわかった。そのうち、25.9万円越えが398世帯、月収31万円を超える高額所得世帯が47世帯もいる。さらに驚くべきは京都市の市職員が9世帯含まれていた。
理由はどうあれ、収入が2年以上にわたり基準を超えている方が1000世帯入居し続け、その分、生活困難者が入居できないという状況が起こっている。収入超過が認定され10年以上そのまま居座っている世帯は127世帯に上り、高額所得者の中には最長12年に渡って退去していない。法的には、収入超過者については、法的には明け渡し義務がなく、努力義務に留まるようだが、彼らは、既に行政のセーフティーネットから自立している。積極的な行政の指導と生活困難者を優先する本政策の本旨に基づき法令整備も含め適切な改善が必要だ。
あまり厳しいことをいうつもりはないが、玄関ポーチどころか至る所までガーデニング、表にごみが山積みのごみ屋敷、ペット逃亡防止柵の廊下設置、とにかく市営住宅の管理は杜撰だ。ペットの飼育も禁止だが、市営住宅の建物内にペット飼育に関する注意書きが堂々と張られている。これは役所が黙認している動かぬ証拠だ。
さらに調査を続けると、複数所有が疑われる事案(一方は電気メーターが動いておらず入居実態がない)も多い。会社の看板が挙がっているところも散見した。もちろん市営住宅は、身体障害者によるあんま業や個人タクシーなど自宅で営むことが許可されている個人営業など一部を除き、住居目的以外の使用は不正使用として明渡指導の対象だ。
これは、今回、私自身が市営住宅の約一割強にあたる16団地2754戸をくまなく回り、一戸一戸居住実態を確認して回った現場調査の結果だ。
結論、杜撰。管理の不行き届きは、住宅自体のイメージや質を低下させ、住民の生活環境を悪化させる。市の共有財産の適正な利用に向け早急に対処されたい。
三条駅徒歩30秒、三条通沿いの一等地の買収を京都市は進めている。かつて劣悪だった住宅地区の改良事業の延長線だ。場所的にももはや行政が買収をし、住宅を建設するべき土地ではないと主張しているが、27年も買収している。
三条通りに面した36坪の土地。土地代が6000万円、建物代1200万円(築90年だが、行政の買収は何年経っても新築の20%程度は支払われる。)、補償1800万円、これに飲食店をやっている借主がおり、こちらへの補償・移転料が950万、〆て9950万、買収に携わった職員の経費を加えると1億円では全くきかない。買収してこの土地をどう使うのだろうか。元々賃貸物件で住んでいる人はいない。というより、すでに裏の市営住宅も空室続出だ。そんな中わざわざ三条通り沿いの一等地を買収して使い道はない。こんなことに税金が湯水のように使われる。一日も早く買収を止め、不動産価格が高騰している今のうちにとっとと売却をすべきだ。
市営住宅の中には戦後に建設された老朽化著しい木造住宅もある。もちろん新規募集は停止しているが、入居者が退去しない為、事業を廃止できずにいる。
左京区の某木造の市営住宅。退去依頼を続け、現在の入居者は10世帯。10世帯からの家賃収入は年間145万円。少ないのは建物が半端なく古いので仕方がないのだが、こちらはなんと借地の上に市営住宅が建っており、毎年土地の賃料1330万円発生している。10世帯の為に毎年税金が1200万円近く使われている。それどころか、すでに退去され建物を除却した歯抜けの土地がずっと使われず塩漬けになっている。それが何十年と続いてきた。立ち退きに応じない入居者は高齢者ばかりで大変難しい問題だが、このまま行けばまだ十年、二十年といたずらに時間を費やすことになる。公共の福祉とのバランスを鑑み、早期決着に向け取り組みをされたい。
議論から半年たった今、その後の京都市の取組みを後追いするため、委員会で質疑したところ、 建設後誰も入居しない新築未入居物件77戸については14戸が入居(内定含)、高額所得者については47世帯から31世帯へ減少、収入超過者は1080世帯から1040世帯へ、まさかの9世帯の市職員の入居については6世帯の退去が決まっていた。(残りの3世帯は親族が全盲など特殊事情あり。)共有部分が不法占拠されているものについては指導を重ね、悪質な9件については改善が報告、ペット飼育禁止についてはたびたび啓発ビラを頒布したり、しおりに掲載するなど是正に努め、不正使用は指摘の住戸全て調査し、会社使用の実態がないなど全戸について問題が確認されなかったと報告された。十二分とは言えないが、実質4か月だとすれば、かなりご苦労されたことと思う。やればできるんじゃないか。引き続き、さらなる改善を注視したいと思う。